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劇団四季『ノートルダムの鐘』1幕のあらすじを徹底解説!ネタバレ有

皆さんこんにちは!ムビ8管理人のアイランドです!

本日は劇団四季『ノートルダムの鐘』1幕について詳しく解説していきます!

※個人の見解や感情が入っておりますのでご承知おきください(笑)

はじめに

前の記事でも触れましたが、この作品は「悲劇」の物語です。

観る人の感情を揺さぶってくる、大人向けなミュージカルとなっております!

皆さんは「悲劇」お好きですか?(笑) 

いやハッピーエンドの方がいいよ!という声が聞こえてきそうですが、

その考えはこの物語を深く知ることにより大きく変わることでしょう。

それでは各場面の解説に入っていきますよ~~!

オープニング

あ~~~~あ~~あ~、あ~~~~あ~~あ~あ~~あ~あ~~~!!!

コホン、失礼しました(笑) 取り乱したわけではありません。

『ノートルダムの鐘』ではクワイヤと呼ばれるコーラス隊がいらっしゃいます。

カジモド役、アンサンブル役の他にこのクワイヤの歌唱も加わった迫力ある合唱も大変な魅力となっております。

歌の上手いたくさんの演者の皆さんが一斉に冒頭のフレーズで歌い出すのです!

この迫力と言ったら…。横道にそれましたね(笑)

オープニングではジプシーのリーダーのクロパンが語り部となり、物語を進行し、疑問を投げかけてきます。

ここで弟思いの兄フロローと、美青年の弟ジェアンが登場し、二人の成長の過程を歌にのせて展開されていきます。

フロローは真面目に働き聖職者としての位を上げていきますが、弟のジェアンは遊んでばかりでした。とある日ジェアンは教会の決まりを破り、その時一緒にいたジプシーの女性とともに追放されてしまいます。

フロローはジェアンを探し回り、ある日ジェアンから一通の手紙が届きます。

手紙に書かれた場所へ行くと天然痘にかかり、瀕死の弟の姿がありました。

最後の頼みだと、一緒に出ていったジプシーの女性との間にできた赤ん坊を引き取ってくれるようフロローを説得します。

フロローは躊躇しながらも赤ん坊の顔を見てこう言い放ちます。「怪物だ…!」

それに対しジェアンは「それでも俺の子だ…哀れに思ってくれるなら引き取ってくれ…」こう言い残し静かに息を引き取るのでした。

フロローはその赤ん坊を胸に抱き人目を気にしながら群衆の中を歩きますが、ついに魔が差し、赤ん坊を投げ捨てようします。

その時、周囲の石像の視線がまるで神に見られているかのように感じ、思いとどまります。そしてその赤ん坊を我が子のように愛そうと誓い、名前をつけるのです。できそこないという意味の「カジモド」と…。

月日が経ち、語り部のクロパンが観客に問いを投げかけます。

「答えて欲しい謎がある。人間と怪物。」

さらにカジモド役の青年が「どこに違いがあるのだろう」と続け、背骨を曲げ、顔面に墨を塗り、普通の青年から醜い姿へ変えるパフォーマンスが入ります。

そんなカジモドがフロローの命により民衆に朝を知らせる鐘を鳴らしたところで、オープニングは終わりです。

実のシーンで言えば8分くらいあるんですね、このオープニング。

語り部役がしっかり説明してくれるので、ここに至るまでが非常にわかりやすいですし、この頃にはもう『ノートルダムの鐘』の世界観に入り込んでいるかと思います。

さあ、長くなりましたが、ここからがこの物語の本当の始まりですよ!!

陽ざしの中へ

さて、今年も「らんちき祭り(トプシーターヴィー)」の日がやってきます。

「僕も行けたらなあ、でもご主人様(フロロー)に叱られちゃうから…。」カジモドは毎年このお祭りを上から眺めてるだけ。

そうぼんやり広場の様子を眺めていると、友達のガーゴイルたちにものせられて、ご主人様に内緒で大聖堂を抜け出し、祭りに参加することを決心します。

その際に歌われるこの作品のメインナンバーの一つが、

「日差しの中へ(Out There)」です!

最初は背中が曲がったまま、自信なさげに呟くように歌いだしますが、カジモドの中の気持ちが希望に満ち溢れていくとともに歌い方にも変化が現れます。

カジモドが勇気を出し、「一度で、いいから、ここを、抜け出し、踏み出そう、陽ざしの中へ~~!」と一歩一歩踏み出しながら手を広げるシーンでは思わず涙がこぼれます。

カジモド、強くなったね…。よく勇気を振り絞った!!

ですがカジモドはこの後、思いがけない形でご主人様との約束を破ったことを後悔することになるのです…。

トプシーターヴィー

カジモドはいよいよトプシーターヴィーの行われている広場に到着します。

現場は大盛り上がり!今日だけは無礼講祭りで、みな楽しく踊っている中、その場で異色の輝きを放つジプシーの踊り子エスメラルダと出会います。

カジモドを含め、広場に居合わせた群衆は彼女の虜となっていました。そんなお祭り騒ぎの中、この町で一番醜いものを決めるコンテストが始まります。

このお祭りを来年こそは阻止しようと、フロローと警備隊長フィーバスも参加していました。

エスメラルダが陰で観ているだけのカジモドに話しかけますが、その容貌に一度は驚くものの、「あなたの長所、活かしてみない?」そう優しく問いかけ、カジモドの手を取り、コンテスト台へ。

群衆はあまりの醜さに驚きますが、カジモドを優勝者として称えます。しかし、群衆たちはカジモドをロープで縛り上げ、鞭で叩くなどどんどんエスカレート。フロローに許しを請いますが、「いい薬になる。」と群衆を止めはしません。

エスメラルダがやっとのことで群衆たちを止め、「こんなことになるなんて…。ごめんなさい。」と謝りますが、カジモドはフロローとの約束を破ったことを後悔し、すごすごと大聖堂へ引き返していきます。

その場を去ったエスメラルダが落としていったスカーフの匂いを嗅ぎながらそっと自分のポケットにしまったフロローも同じくしてその場を去るのでした…。

世界の頂上で

トプシーターヴィーで外の世界の残酷さを思い知ったカジモドは再び大聖堂に戻るが、そんなカジモドを追ってエスメラルダも大聖堂に立ち入ります。

ここでフロローと再会。フロローはジプシーが立ち入れる場所ではないと彼女を非難しますが、「あなたがしてほしいと思うことを、あなたも人にしてあげたらどうかしら?」と返され驚きます。キリストの教えに近い言葉を返されたフロローは彼女の魅力を再認識し、また聖堂に来なさいと促すように変わるのでした。

エスメラルダは、この大聖堂の美しさに感動し、涙しながら世の中の平和を祈り歌います。彼女の温かさと愛情について深く表現されている名曲が、

「神よ 弱きものを救いたまえ(God Help the outcasts)」です!

この歌をひっそりと聞いていたのはカジモドとフィーバスでした。祭りで居合わせ惚れていたフィーバスは彼女を口説こうとしますが、相手にされません。

カジモドが音を立てたことに気づき、祭りでのことを謝りたいとカジモドを追いかけます。カジモドは石像たちに成りすまして屋上に隠れますが、見つかってしまい、エスメラルダと話をします。

「こんな素敵な場所見たことない!」大聖堂の頂上から見た景色に感激するエスメラルダ。そんな彼女に大聖堂のことを紹介し、カジモドは淡い恋心を抱き、エスメラルダは今までに感じたことのない感動を覚え、二人ともまるでここが「世界の頂上」であるかのように歌う曲が、

「世界の頂上で(Top of the World)」です!

いつもは不平等や差別に囲まれた地上で生活しているエスメラルダですが、頂上から世界を見てみるとそんな問題はちっぽけな問題なんだと気が付き、カジモドにとっては素敵な女性と二人きりでまるでデートしているかのよう。

曲の最後にカジモドは勇気を振り絞ってエスメラルダの名を呼び、「いいね、二人でいる」とぎこちない言葉で自分の気持ちを伝えます。彼女はこれに対し「二人でいる」と返し、世界の頂上での二人の幸せは、最高潮を迎えるのでした。

テンションが舞い上がったフロローは鐘を鳴らしてしまい、その音を聞きつけてきたフロローに叱られてしまいます。フロローはその場にエスメラルダがいることに驚きますが、再度口説こうと彼女に迫ります。

「私のことをみるその目つき、どんな顔をしてるかわかってるの?」エスメラルダに強く拒否されたフロローはここで激昂。大聖堂に立ち入ることを禁じ、カジモドに厳しくあたります。フロローの彼女への愛情は憎しみへと変わり、カジモドには二度と彼女のことを考えないよう厳しく言いつけました。

カジモドにはそう叱ったものの、自分の頭の中からも彼女の姿が消えることはなく、彼女を求めて人知れずに夜の街へ消えていきます。聖職者でありながら自身の欲望を抑えきることができなかったのです。

天国の光と罪の炎

この場面では、エスメラルダに対するカジモドの恋心とフロローの憎悪が対照的に表現されています。その差はまるで天国と地獄です。以下に続きます。

フロローに言いつけを守ろうと、カジモドはエスメラルダのことを考えないようにしていましたが、夜のパリの街並みを歩く幸せそうな恋人たちを羨ましそうに眺め、彼女が頭から離れません。そんな自身の淡い気持ちを歌う曲が、

「天国の光(Herven’s Light)」です!

愛に満ちたその光景に憧れはあったものの、自身の醜い容貌から自分には起こりっこないんだと諦めていました。しかしエスメラルダは微笑みかけてそっとこの顔に触れてくれたのです。「好きになってくれたのかな」そう嬉しそうに呟き、諦めかけていたその感情が自分にもあると気が付くのでした。

さて、希望と愛情に満ち溢れるカジモドの直後、フロローが登場します。自身の気持ちををエスメラルダに引き裂かれた彼は、神に自分の罪(聖職者でありながら異性を愛したこと)について懺悔します。その原因はエスメラルダのせいだと歪んだ愛情を正当化し、自身の燃え上がる乱れた気持ちを表現している曲が、

「罪の炎(Hell Fire)」です!

フロローは、真面目な聖職者なのです。恋なんてしてはいけないはずなのです。なのに燃え上がってくるこの感情は?欲望は?自身の気持ちに混乱しながらも、神への懺悔を経て正当化し、誰も止められない暴走状態へ。私のものにならないのなら火炙りにして殺すと歪んだ愛情が単なる憎しみへと変わっていきます。

そして暴走フロローにパリの街は燃やし尽くされ、物語は悲劇へ…。

エスメラルダ

さて長くなりましたが、ここで1幕はラストです!!

ここまで登場したカジモド、フロロー、フィーバスが別々の目的を持って、一人の女性エスメラルダを探し回るシーンとなっております。

カジモドはフロローの目的を知り、エスメラルダが心配で…

フィーバスはフロローの行動に疑念を感じながら、警備隊長として…

フロローは自分のものにする為、パリの街を燃やし尽くしてでも…

それぞれの視点でのエスメラルダの捜索が表現されている、1幕ラストの曲が、

「エスメラルダ(Esmeralda)」です!

フロローとフィーバスはエスメラルダを匿っていそうなとある酒場に到着。ここにはいないと女主人に突き返されますが、「いないならこの宿を燃やしても構わんな、いい見せしめになる」とフィーバスに店に火をかけるよう命令します。フィーバスは戸惑いますが、自分の持つ松明から彼女の言葉を感じ、弱きものを助けるために決断するのはこの時だ!とフロロー命令に背きます。激昂したフロローはフィーバスをナイフで刺し、それをエスメラルダが刺したことにして、二人とも捕らえるように兵たちに命令しますが、エスメラルダが煙幕を使い、負傷したフィーバスを抱えてその場から脱出したのでした。「町をを燃やし尽くしてでも、エスメラルダを探し出せ!」とフロローの捜索は加速していきます。

エスメラルダは「なぜ人の心配をするの!?」とフィーバスに問いますが、「誰かが心配しなければ」と返します。彼女は必ず助けると言い残し、助けを求めて再び外の世界へ…それぞれの思いが交錯しながら夜は更けていくのでした…。

まとめ

さて、いかがだったでしょうか!!これが『ノートルダムの鐘』の1幕です。

エスメラルダという女性を巡り、カジモド、フロロー、フィーバスのそれぞれの思いが交錯し、1幕ラストにはその揺れ動く感情が観て取れました。

途中で様々なナンバーもご紹介しました。一曲ごとのご紹介はできませんでしたが、海外キャストによるダイジェスト版があるので、よろしければこちらもご覧になってみてくださいね!

最初はフロローでさえも純粋なる恋でした。ただ一歩間違えるとどんな方向へも行きかねない。これは現代にも通じます。人って見かけによらないんですね。

容姿が醜い?真面目な人?遊び人?印象は違えど、それぞれ異なる内面を持っています。この物語で言えばフロローは悪ですが、最初は弟想いの優しく真面目な聖職者でした。自分がフロローの立場ならどう考えるでしょうか?

それぞれの立場で考えることによって、答えは様々だと思いませんか?

なにが人を「怪物」とし、なにが人を「人間」とするのか」

最初に問われたこの言葉の意味を段々理解できてきたのではないのでしょうか。

2幕まで観終わった時にあなたの中での答えが見つかりますように。

そして物語はいよいよ悲劇の結末へ…。2幕の記事に続きます!