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映画『ファーストラヴ』のあらすじ・感想【ネタバレ有】

こんにちは!ムビ8管理人のアイランドです!

本日は映画『ファーストラヴ』のあらすじや感想などを紹介していきます!

本文にはネタバレを含みますのでご注意ください!

まずは公式の予告編をご覧ください!

作品情報

監督:堤幸彦
キャスト:
原作:島本理生
真壁由紀・北川景子
脚本:浅野妙子
庵野迦葉・中村倫也
公開日:2021年2月11日
聖山環菜・芳根京子

簡単なあらすじ紹介

川沿いを血まみれで歩く女子大生が逮捕された。殺されたのは彼女の父親。
「動機はそちらで見つけてください。」
容疑者・聖山環菜の挑発的な言葉が世間を騒がせていた。事件を取材する公認心理師・真壁由紀は、夫・真壁我聞の弟で弁護士の庵野迦葉と共に彼女の動機を探るため、面会を重ねる―
二転三転する供述に翻弄され、真実が歪められる中で、由紀は環菜にどこか過去の自分と似た「何か」を感じ始めていた。そして自分の過去を知る迦葉の存在と、環菜の過去に触れたことをきっかけに、由紀は心の奥底に隠したはずの「ある記憶」と向き合うことになるのだが…。

引用:https://firstlove-movie.jp/

圧倒的演技力のキャスト陣

いやあ、びっくりしました。特に芳根京子の演技力には脱帽です。

北川景子や中村倫也は言わずもがな、安定した演技っぷり。トラウマを抱えたもの通しの秀才役を見事に演じ切っています。ファーストラヴの原点から、相棒役まで素晴らしいコンビネーションでした。その他にも犯人(芳根京子)の両親には、木村佳乃と板尾創路が登用されています。板尾創路に関しては、なぜ死体シーンだけであんなに魅せられるのか不思議です(笑)板尾創路が倒れているだけで、「お!ミステリー始まったな!」感が出るのは、ならではのオーラなんでしょうねえ…。

さあ本題に入ります。芳根京子の演技力についてです。

これはもう異次元ですね。完全に騙されてました。予告編の感じではただのサイコパスでやばい殺人鬼。なんなら北川景子の彼氏と前に付き合っててそして心理的にじわじわするような奴かと思ってました。面会時は意味不明な動きをして、急に取り乱しますし、不気味に笑うし。しかし、そこには様々な背景が隠されていたんです。

「動機はそちらで見つけてください」

この発言は予告編でもインパクトあるフレーズでしたが、観る前から我々は踊らされていたんです。いわゆる発言の切り取りですね。映画の中でも「そんな風に報道されちゃうんだ~」という芳根京子の発言が胸に残っています。

簡単に言うと、過去に様々な深いトラウマがあり、今回の事件は偶然起こってしまった。殺すつもりはなかった。サイコキラーに仕立て上げられてしまい、さらに精神は不安定になった。でもこの感情を表に出さずに、サイコキラーのフリをしていた。ここまでの深い心理状態を怪演しており、観る前も観ている途中も、芳根京子はサイコキラーであると完全に騙されていました。恐ろしい演技力です。人物は存じ上げていましたが、ここまでの演技を見たのは初でした。

この映画の真の主役は間違いなく“芳根京子”でしたね。

サイコキラー?事件の真相とは…

事件の真相と判決は以下の通りです。

  • 環奈が父親を刺したのは事故であった
  • 環奈には不遇な過去があり情状酌量を得た
  • 判決は”懲役8年”の実刑判決

アナウンサー試験が上手くいかなかった環奈は自分を罰する為に自傷行為をしてしまいます。これを父親に見てもらうために、父親が働いている大学の女子トイレに父親を呼び込み、自傷の跡を見せました。そこでちょっとした揉み合いになり、清掃直後で濡れていた地面で足を滑らせ、環奈が持っていた包丁に刺さってしまったのです。

環奈の不遇な過去が、心身的な負荷を与えたことに理解は成されたものの、父親を人目の少ない場所へ誘い出し、包丁を持参したところに殺意が無かったとは否定しきれない。また、事故の直後に救護という使命を放棄したことは罪に当たる。ということで懲役8年が妥当とされ、実刑判決となりました。

当初「動機はそちらで見つけてください」といった挑発的な態度だったのは、母親にこの事故のことを話した際に、「包丁が偶然刺さるなんてあり得ない」と話され、「そうなのかも」と思ったからだそうです。殺意が無くても、自分がよくわからなくなってしまって、考えを放棄し、両親のいいなりだった幼い頃と同じ反応をしてしまったんですね。

由紀と環奈に通ずる深いトラウマ…

由紀の過去のトラウマ

由紀は幼い頃から、「うちのお父さんは、他のお父さんと少し違う」と、父親の異常を感じ取っていました。ある日、父親の車のダッシュボードに自分と同じくらいの女の子の写真が大量に入っているのを発見します。このことは記憶から消していたはずなのですが、成人式の日に母親から衝撃のカミングアウトを受けます。

「お父さん、フィリピンで買春をしていたのよ」

これを聞いたとき、幼い頃の記憶が呼び戻され、強い不快感を覚えるのでした。父親が当時の自分と同じくらい(小学生くらい)の女の子を買春していた事実、それを許し平然と打ち明けてくる母親、由紀にとっての両親は忘れられないトラウマになってしまうのでした。

環奈の過去のトラウマ

環奈が幼い頃に、母親が再婚し、那雄人と義理の親子関係になりました。那雄人は芸術家であり、学生の弟子を育成する為に環奈をモデルとして利用していました。最初は楽しんでいたようでしたが、心身が成熟するにつれて、モデルを投げ出したいと思うようになりました。そんな心理状態の環奈にとって、全裸の男性の横に座らされ、多数の男に真剣な目で見られることは非常に酷でした。デッサンの打ち上げの際には、大学生に身体を触られ、口説かれる。この姿を見ても、両親は助けてくれない。そこで自傷行為に至り、「傷が治るまでデッサンに参加するな」と父親に言われることで、精神を保っていたそうです。アナウンサー試験もこの状況に似ていたことから、自傷癖が再発し、父親に見せに行ったことで今回の事故に繋がったのです。

二人のトラウマがリンクする

環奈の精神には、何かがあると確信していた由紀は、自らのトラウマを晒すことで、環奈に近づこうとしました。その中で、環奈の過去の初恋、家庭環境などが彼女に深い影響を与えていたことが判明します。一度は由紀たちを拒絶した環奈でしたが、この話し合いがきっかけで殺意を否定し、助けて欲しいと訴えることになったのです。

そして由紀と環菜の家庭は、父の常軌を逸した行為に対して母が“なにも言えなかった”という点が共通しています。彼女たちは、夫のいいなりで逆らえなかったのでしょう。買春を黙認していた由紀の母、自らも自傷癖があった環奈の母。少なからず子供にも影響を与えていたのかもしれませんね。

ファーストラヴの意味とは?

由紀の”ファーストラヴ”

由紀は大学生時代に、現在の夫の弟である迦葉と親しい仲にありました。友人も少なく、過去のトラウマを抱えていた由紀は自然で儚い雰囲気の迦葉を気に入り、デートを重ねていました。とある日、終バスが無くなりホテルの泊まることに。その流れで行為に発展しかけるのですが、少々強引な迦葉に、由紀は戸惑い中止させます。「何人も経験してきたのに、こんなことあるんだな…」という迦葉にさらにショックを受け、「ただのセックス依存でしょう!」と言い放ってしまいます。これがきっかけで二人の関係は終わってしまうのでした。由紀にとっての初恋は、理想の純愛からは程遠かったということなのでしょうか。その後、迦葉の兄である我聞と個展に参加したことがきっかけで、夫婦として結ばれることになりました。

環奈の”ファーストラヴ”

環奈は小学生の頃、デッサンから抜け出し、足を怪我をして座り込んでいたところを、当時のコンビニ店員であった”ゆうじ君”に手当てしてもらいました。”ゆうじ君”は環奈にとって唯一心を許していた大切な人でした。しかしこの”ゆうじ君”も彼女に性的な行為をした大人の一人でした。環奈はこのことが原因で傷ついたことを認められず、”初恋の人”として自分の記憶に植え付けていました。”ゆうじ君”は彼女を救える唯一の人間で、家庭の事情など全てを知っていたにも関わらず、保身のために全てを打ち明けられず、さらに環奈を傷つけることになってしまったのです。これが原因で環奈は男性に対して強い不信感を持つようになり、自らをどんどん塞ぎ込んでいってしまいました。

ファーストラヴの意味

初恋といった括りではなく、初めての愛という意味だと思います。”ゆうじ君”と環奈であったり、迦葉と由紀の複雑な関係、その全てを包み込む我聞の穏やかな愛のことを差しているのではないでしょうか。愛とはかなり抽象的かもしれませんが、誰にも見捨てられ、自分さえ見捨ててしまった環奈にとって、最初に真剣に向き合った由紀こそ”ファーストラヴ”の相手だったと言えるのかもしれませんね。

アイランドの感動まとめ

この映画をまとめると、

  • 様々な”ファーストラヴ”の形について考える
  • 芳根京子と北川景子の鬼気迫る演技
  • 環境が人に与える影響の大きさ

以上のようなものを感じる作品だったと思います!

“ファーストラヴ”とはただの初恋ではなく、全てに通じる”最初の愛”という認識になりました。それは親が子を思う愛であったり、恋人への愛であったり形は様々でしたが、深い”愛”をどう感じるかは、個人によってそれぞれなんだなと思いました。

北川景子は、最近では約束のネバーランドのイザベラの演技がバッチリハマっていたりと、素晴らしい女優さんだと思うのですが、今回その演技力を爆発させていた芳根京子ですよ。この二人が織りなす、面会室でのシーンは今作の最大の見どころといっても過言ではありません。驚くべきはほぼ一発撮りだったということです。あのスリリングな演技は、二人の根本的な部分から湧き上がる演技だったのでしょうね。

そして、環境が人に与える影響は甚大だなと思いました。それぞれ成長していく環境は別でしたが、ちょっとしたことがきっかえでその人の深いトラウマになり得るという事を十分に理解し、今後の人生の糧としたいですね。

以上、『ファーストラヴ』です!いかがでしたか?

この記事を読んで興味が出た方は是非ご覧ください!

主題歌もとても良かったです!それでは、また~!!